僕が増山ホースクリニックで働いていたとき、うちの院長は、

『仕事終わったら帰っていいぞ。なるべく早く帰れよ。』

と言ってくれる人だったので、それこそ僕は早く帰ることに命を懸けていた、というのは大袈裟ですが、なるべく早く帰れる日は帰ろうと思って仕事していました。

そんな中で、では、どうすれば早く帰れるのか？ということを徐々に考えるようになりました。

そこを突き詰めて行くと、一つ一つの仕事、一つ一つの動作に無駄に時間をかけない、ということが重要だという結論に至りました。

ですが、仕事と一言で言っても、時間をかけた方がいい仕事と、時間をかけない方がいい仕事があると僕は思っています。

なるべくなら、診療には時間をかけ、準備や片付けには時間をかけない、というやり方がベストなのではないかと考えました。

なので、僕は片付けの速さにだけは、相当な自信があります(笑)。

院長に『えっ。お前、もう片付け終わったの？』と言われるのに、変な快感を覚えていた記憶があるぐらいです。

　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊

僕は、うちに実習生が来た際、

『時間をかけた方がいい仕事と、時間をかけない方がいい仕事があるのを覚えておいて。』

とよく言います。そして、

『片付けは、その中でも最も時間をかけなくていい仕事だから。』

と教えます。人によっては、「何時何分までに終わらせて。」と言うこともあります。もちろん、早く片付けるのと適当に片付けるのとはまた違うので、そこも教えます。

また、それはこの仕事(競走馬の獣医師)に限らず、どこへ行っても同じだと思うから、とも教えます。

今の時世、テレワークなども多くの企業で扱われていますが、うちらの仕事ではほぼ不可能です。ですが、仕事を効率よく終わらせて早く帰ることができれば、通勤ラッシュにも巻き込まれず、自由な時間も多く取れて、余計なストレスなどなく日々を過ごせるのかな、と思ったりしています。

僕に関して言うと、ここ最近は『根っこが生えた』と他の先生に言われるぐらい遅くまで残ったりしていますが(笑)。

　2022.8